税務調査シリーズ② ~ そもそも税務調査って?

前回記事で税務調査が再開される旨お伝えしましたが、そもそも税務調査というものが何なのかをざっくり説明したいと思います。
(※本記事では法人税税務調査を前提として記載します)

税務調査に法的根拠はある?

あまり気にする人はいないかもしれませんが、何の権限があって税務調査するのか、

という部分については、税法においてきちんと定められております。

具体的には、国税通則法において、国税庁、国税局、税務署の職員は、

所得税、法人税及び消費税等に関する調査について必要があると認めるときは、

課税要件の事実について法人の関係者に質問し、関係物件を検査する権限を認めています。

この規定は、いわゆる租税の公平・確実な賦課徴収のための必要な行政調査を認めるものであって、

強制調査(相手方の意に反して事務所等に立ち入り、各種物件を検査すること)を認めるものではありません。

何となくドラマの影響などで、査察部による強制調査=税務調査と考えてしまう向き

(最近終了した大人気ドラマ「半沢直樹」のシーズン1でも確かそんなシーンがありましたね)

もあるかもですが、いわゆる査察とは異なるわけです。

強制調査でないなら断る権利はある?

前回記事でも軽く触れましたが、税務調査は、納税者の同意がある限り

「任意の調査」を行うことを前提としています。

従って、その実施時期などは交渉の余地があるというのは既述の通りですが、

では、あくまで任意調査であることを縦に、税務調査自体を拒否することが出来るかというと、

税務調査の質問に対する不答弁ならびに検査拒否、妨害に対しては罰則規定が存在するため、

直接の強制力はないものの、適法な質問、検査である限り、質問に答え、検査を受任する

義務があるものと解されます。

実際、私が関与させて頂いた会社様で、任意調査を縦に罰則受け入れ覚悟で徹底抗戦をした

というようなケースは、経験ありません。

税務調査は悪いイメージ?

ルール上は任意としながらも、実質的には半強制的に受け入れなければならないなら、

結局は税務調査で余計な税金をむしり取られるのか、、という風に思われるかもしれません。

ただ、税務調査というものは、ざっくり言ってしまえば、「税法に基づいて正しく税金が納められているか」

を確認する作業であり、適正に処理されていれば「指摘(修正)事項なし」で終了することもあるわけです。

勿論、会社や事業規模、調査担当(所轄)部署によってその程度に差はあるかもですが、

私が過去に担当させて頂いた会社様で、それなりに所得が発生している場合でも、

指摘事項なしで終了したケースも、実際に何度か経験しています。

また、ドラマのように何十人という大人数で押し寄せて、

終始高圧的な態度で長期間に渡り調査を受けるということも、実際にはありません。

特にやましいことがなければ、本来必要以上に構えるものではないのです。

とはいえ、何らやましいことがなかったとしても、調査を受けること自体は

あまり気持ちの良いものではないというのが、実際のところかと思います。

そのあたりの精神的負担を極力減らすためにも、日ごろから税理士と適宜

コミュニケーションを取り、余計な課税が生じないように備えておくことが、

地味ですが最も確実な方法かと考えられます。

税法は毎年アップデートされ、我々専門家でもキャッチアップするのに苦労する程複雑化しています。

残念ながら、調査の際には、「知らなかった」では通用しません。

特に新規事業や取引を開始する場合などは、税理士と上手くコミュニケーションを取り

思わぬ課税を受けぬよう、将来の税務リスクに備えておくということが、

結果として余計な支出を減らすことにつながる一番の近道とも考えられます。

是非、一度ご検討してみて頂ければと思います。

※本記事は投稿日現在の法令等に基づき記載しております。なお、記事の内容に関するご質問等は受け付けておりませんのでご了承下さい。


【編集後記】

10月に入りめっきり寒くなってきました。今年は寒さの厳しい冬になるとの予想もあり、何だか近年は秋という季節が存在するのかよく分からない感じがしています。急激な季節の変わり目、体調管理にはいつも以上に注意していきたいものです。