税務調査シリーズ④ ~ 税務調査はいつくるか
税務調査というと夏~秋をイメージされる方もいるのではないでしょうか。
夏~秋は税務調査の季節?
以前にも少し触れた通り、今年はコロナの影響もあり例年と少し状況が異なりますが、
国税の人事異動が7月であることから、新事務年度の体制による
税務調査の連絡は、7月上旬~中旬あたりにかけて徐々に来るのが
通常の流れになります。
このため、税務調査といえば夏~秋をイメージされる方もいるのではないかと思いますが、
では7月中に連絡がなければその年は税務調査が実施されないかといえば、
勿論そんなことはなく、10月以降や年明けにも新規の税務調査の連絡は来ます。
税務調査の詳細な手続きについては、当然公にリリースされているものではないので、
あくまで個人的な経験に基づくと、通常は7月、10月~11月、年明けの大きく3段階に分かれて
スケジュールが組まれていることが多いという印象です。
7月が人事異動であることを考慮すると、
その事務年度の調査官の成績は遅くとも5月~6月辺りには決まっている必要があり、
そこから逆算すると、年明けに調査の連絡がなければ、
その年の税務調査は実施されない可能性が、ある程度高いのではないかと考えられます。
勿論、必ずしも上記スケジュールのいずれかに当てはまるとは言い切れませんし、
実際に3月以降に新規の税務調査の連絡がきた経験もありますが、
4月を過ぎてからの新規の税務調査の連絡というのは、比較的稀なのではないかと思います。
では、来るタイミングによって調査のレベルが変わるということはあるかというと、
建前上は勿論そんなことはないのですが、以前国税OBの方からお話を伺った際には、
やはりというかある意味当然ではありますが、「取りに来る調査」は、
新事務年度1発目の7月から入るのが通常、とは仰っていました。
税務調査は何年おきにくるか
税務調査は何年おきにやってくるかというと、
大体3~5年間隔くらいで実施される印象を持たれている方も多いのではないかと思います。
実際、私が過去に関与させて頂いた会社様も、業種や規模によって差はあるものの、
大体このくらいの間隔で実施されることが多かった印象です。
何故3~5年で実施されるかというと、更正(調査により誤りがあった場合に国税側が修正)処分
の期限が、通常は5年とされていることに起因します。
更正出来ない期間の調査を実施しても意味がないので、更正期限前に実施される訳ですね。
個人事業主は税務調査に来ない?
中には、うちは10年以上前に入ったきりでそれからは入っていない、
創業以来一度も入っていない、という会社様もいらっしゃるかもしれません。
実際、私の担当していた会社様でもそういったケースもありました。
このようなケースは、経験上、大体は税務上の欠損ポジションが継続しているか、
売上規模がある程度小さい会社であるケースなどが多いのではないかと思います。
調査官としても、時間や工数をかけて税務調査を実施する以上、
調査した結果、追徴税額が見込まれない調査は、費用対効果の観点から
後回しにされやすいなどの理由があるのではないかと推察されます。
ただし、売上が小さいから、個人事業主だから調査はこないというと、
必ずしもそんなことはありません。
菅内閣の下では、書面やハンコの原則廃止といったニュースもあり、
行政改革が一気に進められることも考えられ、特にこれからの時代、
コロナを契機とした急速な電子化、マイナンバーカードの普及などに伴い、
税務調査においても効率的に情報収集、反面調査が出来るようになったり、
AIやRPAの導入により、税務調査がある程度仕組化されていることもあるかもしれません。
そうすると、今まではある意味黙認されていたような小~中規模の会社や個人にも
幅広く調査が実施出来る日がくるかもしれません。
うちは税務調査きたことないから、規模が小さいから、個人だからと
税務処理をないがしろにせず、適宜税理士と相談し、来るべき税務調査に備えておくことをお勧めします。
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【編集後記】
秋といえばスポーツの秋、読書の秋、食欲の秋など、何をするにも気持ちの良い季節ではありますが、今年はコロナによる影響で中々例年通りに動きづらくストレスを感じている方も多いのではないでしょうか。「withコロナ」などと言われますが、出来れば「withoutコロナ」になる日が来ると良いですね。