税務調査シリーズ⑤ ~ 対応する際の留意点

今回は実際の税務調査の流れと、対応する際の留意点について記載します。

税務調査の流れ

通常、税務調査は大きく分けると以下の流れで実施されることが多いです。

  • 調査連絡
  • 顔合わせ、事業概要ヒアリング、資料依頼
  • オンサイト調査(追加資料依頼、質問、担当者インタビュー)
  • 発見事項の提示
  • 修正申告 or 更正 or 更正がない旨の通知

税務調査の連絡は、申告書と一緒に税務代理権限証書という書面を提出している場合、

その書面に記載した税理士に連絡が来ることになります。

因みにこの書類を提出していない場合、調査官によっては税理士の調査立会は

出来ないと言われてしまうケースもありますので、税理士の立会を希望する場合には

提出しておくようにしましょう。
(申告書と一緒に提出していない場合でも、調査の連絡後に提出すれば実務上は問題ないケースが多いと思われますが)

また調査連絡の際には、担当官、対象税目、対象期間、調査実施時期などが伝えられるかと思います。

実施時期やオンサイトの期間については、このタイミングで

適宜会社と相談の上、必要に応じて交渉することになります。

また、担当官の略歴は、職員名簿や税務通信などで確認することも出来ますので、

気になる場合には予め確認しておくのも良いかと思います。

事前準備の留意点

税務調査に際しては、ある程度事前準備も重要となってきます。

その理由と目的から、大きく分けて①提出資料の整備と、②対応方針のすり合わせ

になるのではないかと考えられます。

①の観点から、調査の事前連絡の際には提出資料リストを早めに送ってもらうよう依頼しておきましょう。

これを元に、会社で対応出来る部分、担当税理士が準備した方が良いところを峻別し、

余計なもの、提出する必要がないものなどを提出してしまわぬよう準備しておくことが出来ます。

また、税務調査に不慣れな場合、担当税理士から税務調査について説明を受け、

どのように対応すべきかなどについて、必要に応じて

レクチャーや認識のすり合わせはしておきましょう。

既に過去に税務調査を受けたことがある場合には、

前回調査の指摘事項や指摘には至らなかった指導事項については

基本的には次の担当者に引き継がれており、まず間違いなく確認される

ポイントの一つになるかと考えられます。

この辺りの対応が問題ないか、事前に確認しておくのも必要かと思います。

それ以外にも、会社規模や業種、取引内容など、個々の会社状況により留意すべきポイントは異なると思います。

特に気になる点があれば、個別論点について税理士と事前に協議しておくのも良いでしょう。

逆に、こういった対応が誠実でない税理士は、まず避けておいたほうが賢明かと思います。

対応時の留意点

会社によって、税務調査の際に留意すべきポイントが異なるのは上述の通りですが、

一般的な話、心構えとして、気を付けた方が良い点はいくつかあるかと思います。

まず、税務調査はプレゼンの場ではないということです。

調査官との初回の顔合わせの際の事業概要の説明や、質問された際の回答、

場合によっては〇〇部の現場担当者へのインタビューを依頼されるケースもあります。

こういった場合に共通していえることは、聞かれたことに対して

必要最低限の回答をするよう意識することかと思います。

特に、現場担当者のインタビューの場合には、

担当者としては自身の業務や成果を必要以上に説明しがちな傾向にあるため、

その結果、例えばソフトウェアの計上漏れが指摘などといったことも考えられます。

そもそも現場担当者と直接話す機会を設けることは出来るだけ避け、

経理や税務担当の方が間に入るのが良いかと思いますが、

どうしても現場担当者のインタビューが避けられない状況であれば、

その担当者と回答の仕方などについては、事前にすり合わせしておくことが肝要になるかと考えられます。

調査官としては、一見関係なさそうな質問などから、何かしらの糸口を探ろうとしてきます。

誤解してはならないのは、回答に際し嘘をついて良いという訳ではありませんので、

あくまで余計なことは言わず、もし即答出来ないものや回答しづらいものは、

確認する旨伝えた上で、後日など時間を空けて回答方針を固めてから回答するようにしましょう。

※本記事は投稿日現在の法令等に基づき記載しております。なお、記事の内容に関するご質問等は受け付けておりませんのでご了承下さい。


【編集後記】

某銀行グループが週休最大4日制度を導入するということで、もう普通のサラリーマンでも副業をするのが当たり前になりつつある時代であることを改めて感じています。税務は基本世の中の流れの後追いですが、働き方の多様化に伴い、税制についても変化していかなければならない時代かもしれません。