修正申告によるペナルティ①

修正申告により追加で支払う税金がある場合、基本的にはペナルティも追加で課されることになります。

ペナルティ(附帯税)の種類

種々の理由により追加納付税額が発生する場合、大きく分けて追加で課されるペナルティーは以下となります。

  • 過少申告加算税(加算金) … 当初の申告額が少なかった(過少)ことにより課されるもの
  • 無申告加算税(不申告加算金) … 期限内に申告しなかったことにより課されるもの
  • 不納付加算税 … 源泉所得税について、納期限内に納付しなかったことにより課されるもの
  • 重加算税(重加算金) … 隠蔽、仮装が行われたと認められた場合に、上記加算税に代えて課されるもの
  • 延滞税(延滞金) … 納期限までに納付しなかったことにより課されるもの

基本的には加算税(加算金)は、当初「申告」が過少であったり、「申告」期限に遅れたりすることによるペナルティーであり、

延滞税(延滞金)は「納付」が過少であったり遅れたりすることによるペナルティーと考えてもらえれば良いかと思います。

なお、括弧書きは地方税における名称ですが、その内容は基本的に国税(法人税、所得税、消費税など)

と同様のものとなります。

加算税(加算金)の税率

過少申告加算税(加算金)、無申告加算税(加算金)の税率は、

厳密には状況により細かく規定されているのですが、大まかに区分すると以下の通りとなります。

【過少申告加算税(加算金)】

国税
(法人税、所得税など)
事業税住民税
自主修正
(調査通知の前)
不適用不適用
調査通知後、更正予知前5%(10%)不適用
調査による更正等10%(15%)10%(15%)
(※2017年1月1日以後に法定申告期限が到来するもの)

【無申告加算税(不申告加算金)】

国税
(法人税、所得税など)
事業税住民税
調査通知の前5%5%
調査通知後、更正予知前10%(15%)5%
調査による更正等15%(20%)15%(20%)
(※2017年1月1日以後に法定申告期限が到来するもの)

上記はあくまでざっくりとした区分となりますが、基本的には、①調査通知前、

②調査通知後更正予知前、③調査による修正・更正の3段階により税率が異なることとなります。

表中に税率の括弧書きがある部分は、基本的に期限内申告税額又は50万円の

いずれか多い金額を超える部分に課される課税割合となります。

言い換えると、修正額の多寡により、税率が異なる可能性があるということです。

なお、法人の住民税については加算金の規定は存在しないため、地方税で加算金が課されるのは事業税のみとなります。

調査前の自主修正であればペナルティーはなし?

上表の通り、調査通知前の自主修正の場合には加算税(加算金)が課されないこととなります。

過年度の申告内容について誤りに気付いた場合、税務調査を待たずしてわざわざ自主的に

修正申告するケースがあるのは、これが実務上の一つの判断理由としてあるからと考えられます。

自主的な修正申告に加算税(加算金)が課されない理由としては、

申告納税制度の普及を図るため、自発的な修正申告等を奨励する目的が

その背景と考えられます。

因みに、以前は間の区分(調査通知後、更正予知前)はありませんでしたが、

これを理由に、事前通知直後(更正等の予知前)に多額の修正申告又は

期限後申告を行うことにより、加算税の賦課を回避している事例が散見されていたため、

2016年税制改正により、2017年1月1日以後に法定申告期限が到来するものについて、

当初申告のコンプライアンスを高める観点から、調査通知から更正等の予知までの間については、

更正等の予知後の通常の加算税よりも一段低い水準の加算税を課すこととされたものです。

なお、自主修正の場合に課されないのはあくまで加算税(加算金)の話であり、

「納付」が遅れたことによる、いわゆる利子相当分のペナルティである

延滞税(延滞金)については、自主修正をした場合であっても課されることとなります。

延滞税(延滞金)については、その計算方法が複雑な部分もありますので、

また次回以降に解説したいと思います。

※本記事は投稿日現在の法令等に基づき記載しております。なお、記事の内容に関するご質問等は受け付けておりませんのでご了承下さい。


【編集後記】

週末にかけて台風14号が関東に接近するようです。勤務時代から不思議に思っていたのですが、台風が週末にかけてくることが多い気がするのは、やはりマーフィーの法則なのでしょうか。