修正申告によるペナルティ②

今回は前回の続き、延滞税(延滞金)の税率や具体的な計算方法について解説します。

延滞税(延滞金)の税率

納付が納期限に遅れたことによる課される延滞税(延滞金)ですが、

これも加算税同様、厳密には細かく分けられますが、

大まかに区分すると、税率は以下の通りとされています。

【延滞税(延滞金)】

国税地方税
延納、納税猶予
又は延長に係る期間
1.6%1.6%
上記以外2.6%(8.9%)2.6%(8.9%)
(※2018年1月1日~2020年12月31日までの税率)

延滞税(延滞金)は、国などに対して納付が遅れたことに対する、

いわゆる利息相当なので、貸出約定平均金利(各年の前年12月15日までに財務大臣が告示する割合)

に一定割合を加算して決定されることとなっています。
(従って、上表の税率は2018年以降から現在(2020年12月31日まで)のものですが、2021年以降は変更される可能性があります)

なお、基本的には国税と地方税同じ税率となりますが、括弧書きの部分は

納期限からさらに2か月を超えた場合に適用される税率と考えて頂ければと思います。

延滞税等の計算式

延滞税(延滞金)の基本的な計算式は、以下とされています。

「(納付すべき本税の額)×(上記割合)×(経過期間(経過日数/365日))」

なお、上記計算の結果、端数が生じた場合には、以下の通り切捨処理されます。

【端数切捨額】

国税地方税
計算基礎税額
(税率を乗ずる前の数値)
端数が10,000円未満 ⇒ 10,000円未満の端数
計算基礎税額が10,000円未満 ⇒ 全額
端数が1,000円未満 ⇒ 1,000円未満の端数
計算基礎税額が2,000円未満 ⇒ 全額
確定金額
(税率を乗じた後の数値)
端数が100円未満 ⇒ 100円未満の端数
確定金額が5,000円未満 ⇒ 全額
端数が100円未満 ⇒ 100円未満の端数
確定金額が1,000円未満 ⇒ 全額

また、延滞税(延滞金)の計算においては、除算期間というものがあり、

法定申告期限から1年を経過する日の翌日から修正申告書の提出の日

(又は更正通知書が発せられた日)までの期間は、

延滞税等の計算期間からは除外されることとされています。

これが延滞税等の計算を少し複雑にしている要因でもありますが、

延滞税は過去から遡って現在までの期間ずっと課されるものではなく、

基本的には法定申告期限から1年を経過した時点で、

計算はストップすると理解して頂ければ良いかと思います。

修正申告書を提出する場合に、その修正申告による追加納付額を、

修正申告書を提出するまでに納付して下さいと、税理士に言われることもあるかもしれませんが、

これは、上記の除算期間の取り扱いがあるためです。

1年以上前の事業年度に係る修正申告をする場合(即ち、除算期間が発生している場合)

その修正申告による追加納付の納期限は修正申告書の提出日とされていることから、

納付より前に修正申告書を提出してしまうと、その修正申告による納付の遅れとして

さらに延滞税等が課されてしまう訳です。

なお、これはあくまで除算期間が発生している場合の話ですので、

法定申告期限から1年以内の修正の場合には、申告のタイミングは関係なく、

単純に追加納付した日までの経過日数で延滞税が計算されます。

具体例

文字だけだと分かりづらい部分もありますので、

シンプルなケースで具体的に計算してみると、以下のようになります。

前提)
・3月決算の会社で、2017年3月期の修正申告により、2020年9月30日に12,345,600円を納付する場合(※申告期限の延長はしていないものとする)
・2017年の延滞税率:2.7%
・2018年の延滞税率:2.6%

計算例)

  • 12,340,000円(10,000円未満切捨) × 2.7% × 214日 / 365日 = 195,343円 ⇒ 195,300円(100円未満切捨)
  • 12,340,000円 × 2.6% × 151日 / 365日 = 132,731円 ⇒ 132,700円
  • ① +② = 328,000円

上記例は国税の延滞税ですが、地方税の延滞金も端数処理以外は基本的に同様の算出になります。

なお、延滞税などの附帯税については、税務署等が金額を決定して

納付書が送付されてくるため、自分で算出する必要はありません。

実際には申告期限の延長をしている場合など、

状況により上記例のような単純なケースだけではないかと思いますが、

事前に影響額を把握したい場合などの参考にしてもらえればと思います。

※本記事は投稿日現在の法令等に基づき記載しております。なお、記事の内容に関するご質問等は受け付けておりませんのでご了承下さい。


【編集後記】

毎朝30分~40分程度ランニングをしていますが、朝に身体を動かすと、精神的にも安定し、また脳も一日活性化するような気がしますので、想像以上に健康面以外の効果が期待できます。あまり激しく走りすぎると逆効果のような気もしますし、万人に合うかは分かりませんが、興味のある方は是非一度試してみて下さい。